藤堂志津子

「愛犬リッキーと親バカな飼い主の物語」(藤堂志津子)

題名:愛犬リッキーと親バカな飼い主の物語
著者:藤堂志津子
発行所:(株)講談社
タイプ:講談社文庫 と 27

小説家藤堂志津子による小型犬(ヨークシャー・テリア)の飼育日記。

1994年初冬の札幌、若き日に離婚して以来「二度と結婚はしない!」と公言し続ける40代の女性小説家藤堂志津子は、2年間近くの意気消沈と鬱々とした気分から抜け出せないでいた。原因はわからない。家の壁をポスターや絵画で覆ってみた。生まれて初めてのショートカットに挑戦した。髪の毛を茶と金のメッシュに染めてみた。服を徹底的に買い換えた。海外旅行に行ってみた。大酒をくらった。なにをやっても気分は晴れなかった。そんな彼女はふとしたことから小型犬を飼ってみようと思い立ち、衝動的に実行に移したのだが。

多くの場所に、子育て経験のない著者のコンプレックスが描かれていて痛々しい感じさえします。けれど、そんな印象を読者が受けているということには躊躇せず、遠慮なく思いの丈を噴出させている文章には力づけられるものさえあるように思います。筆者はハムスターより大きい動物を飼った経験がないので正確には気持ちがわからないのですが、マンションの自室に犬と二人、とにかく良く話しかけています。

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