データ分析のための心理学[第04回]〜行動分析学3(嫌子)〜

嫌子

アメとムチでいう”ムチ”。

参考書の定義では、

a) 行動の直後に消失すると
b) その行動の将来の生起頻度を上げる
c) 刺激、出来事、条件
「行動分析学入門」(リチャード・W・マロット他著、杉山他訳,2002)
とのこと。

単純に好子の項で言っていた”出現”が消失に変わっただけです。
上記参考書の別の場所では「嫌子とは我々が接触を最少にしたいと望むものである」ともあります。

単純に嫌なもの以外に、危険なもの、生物学的に見て有害なものも有力な嫌子になりえます。
面白いことに「アルコールやニコチンやカフェインといった、生物学的に有害な物質の嫌悪的な味覚が好きになり、依存に陥るのは、社会的圧力(社会的随伴性)のせいであると説明されています。・・・スピードの出し過ぎは生命に危険ではあるが、嫌子でない人はたくさんいる」とのことです。

嫌子消失による強化

嫌子消失による強化の例は案外難しく、参考書でもなにやら電気ショックを与えたり与えなかったりして心因性麻痺を直す例を紹介していますが、どうも日常的な例が少ない印象です。なぜかというと、例えば危険な目に合わない為に横断歩道では手を上げるといった例を考えた場合、それはただ社会的な要請であるだけの可能性が高いからです。

私は基本的にメールのチェックを忘れる癖があります。以前に勤めていた職場はメールをあまり使用せず、業務連絡は口頭か電話がメインで問題なかったのですが、新しい職場とにかく業務指示がメールで来ます。度々見落としているとそのたびに場の雰囲気が悪くなり気まずいのでメールチェックが習慣になってきました。もちろんメールにちゃんと気付いて仕事をしていれば気まずくなることもありません。これは気まずい雰囲気を嫌子とした、嫌子消失による強化と言えるかもしれません。

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データ分析, 行動分析学
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